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この巨大でなにもかもが豊かな国



どっちかにせんか

保守と革新の同居する街:北京
近代的な建物の上に昔風の屋根がのっかっている。
こうしないと近代風デザインの建物には許可がなかなか下りないそうな。


おゆきが中国を訪れてまず最初に思ったことは、「この国はなんと豊かな国なんだろう」ということです。
人にあふれ、ものにあふれ、歴史にあふれ、日本というもはや自給自足のかなわない小さな島国から来た者の目からすれば、
この国の底知れない豊かさには、目を見張るものがあります。

「なぜ?中国って『没有(ない)』の国なんじゃないの?買い物に行っても粗末なものが多くて何も買うものがないし、
たまにいいものを見つけてもすぐなくなっちゃって店員からすげなく『没有』って言われるし。
道路事情もかなり悪いし停電や断水も未だによくある後進国なんだから、豊かな国なわけないじゃないの!」
ご指摘はごもっとも。世界水準から見た場合、品質の良いものにはまだまだ乏しいと言わねばなりません。

では、何をもって「豊か」だというのか。

そもそもこの国の歴史というものは、ざっと見るだけでも戦乱につぐ戦乱、国が興っては倒れ、新しい建国がなされればまた倒れ、また興し、
その間にもたくさんの人が生き、死に、考え、生み出し、また滅ぼす。
・・・・しかしなお、この国は「在る」のです。
まず豊かな土地があり、豊かなるがゆえに人が増え、高度な文明と文化が生まれ、また豊かなるがゆえに他国からも狙われ、
守るために常に戦い、幾度となく亡国の危機にさらされながらも、まだ滅びることなく存在しています。

ベルリンの壁が崩れ去る少し前、東ドイツから西ドイツに亡命した一家の奥さんが、西ドイツのスーパーマーケットに買い物に出かけて、
あまりの品数の多さに何を買ってよいかわからず、ノイローゼになってしまい、「東の方がよかった、帰りたい」と言い暮らしていたという話を
聞きましたが、中国においては物があふれすぎてノイローゼになる人というのは想像ができません。
食べ物なら調味料ひとつ、穀物や酒類どれをとってもその数量と種類の多さには驚かされますし、
歴史ならいたるところに大規模な遺跡を見ることができます。
風光明媚な観光地にも事欠きませんし、大きくわけて56の民族による多種多様な文化にもお目にかかれます。

本来この国のなんと豊かなことか!


・・・・では、なぜこのように豊かな国土と人間と文化をもちながら、今現在先進国になりえていないのか?
どうやら中国人の多くは、本当の豊かさとは、物にあふれる状態をいうのではないことを、とうの昔に忘れてしまっているようです。

豊かすぎると、人は自分が豊かであることを忘れてしまいます。
もっともっと豊かになろうとします。そして一部の人間たちによる搾取が行われます。本来搾取とは、ものがあふれているからこそ行われます。
ないところから取ることはできません。そしてやがてものはなくなります。
ところが、日本のように小さな国だと、すぐ食い尽くしてしまい、それがために、食い尽くすことのおろかさに人々が気づくのも早いかと思われますが、
中国はあまりに大きくものにあふれていたため、ひとりの人間の一生くらいでは「減っている」ことに気づかないのです。


多くの歴史と文化を積み重ね、先人の教えも膨大なこの国が、今その本来の豊かさを取り戻しつつありますが、
・・・・


日本が来た道と、中国がこれから行く道。
対照的なこのふたつの国が、現在の姿になっている理由、そしてともにこれからどうなってゆくのか、
とても興味があるので、私はたびたび中国を訪れるのです。

大陸を思う



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