ちょっとそこの似顔絵屋さん?TOPへ

・・・そしてみんな中国が嫌いになる。
新僑飯店の姑息な手段

新僑飯店の一階エレベーター側面に立つ
メニュー看板。価格表示の下方に、
「サービス料金10% 但しチップ等は
一切不要です」とは書いてあるが・・・


 そもそも新僑飯店とは、おゆきにとって初めての中国・初めての北京で泊まったなじみのあるホテルです。
三ッ星の旧館と四ッ星の新館が同じ屋根の下に同居しており、三ッ星のほうは、壁や天井が剥げ落ち、部屋の中に掛かる洋画は
ひとつとしてまっすぐには掛かっていない(であろう)、カギはといえば、日本では今時よほど古いビジネスホテルでなければお目にかかれない
「木のお札」のついた、ガチャガチャとやたら音のうるさいもの。お湯が出るととてもゴージャスな気分になれるくらい。
しかし四ッ星のほうはというと、うって変わって美しいお部屋。日本のホテルと変わらず、洗面所もベッドもいうことなし。
部屋も広いし、お湯も当然24時間たっぷり出ます。
「ええ??この値段でこんなに中央に近い便利な場所で、こんなにいい部屋に泊まれるのお?」とびっくりするほどです。

 その新僑飯店でいったい何があったか。ああ思い出しても腹の立つ。
このホテルの地下4階には、サウナと温泉(男性のみ)とマッサージルームがあるのですが、このマッサージルームは
もともと「日系の会社が経営している」というふれこみだったのです。中国に不慣れな一観光客にとって、
「日系」という響きのなんと頼もしいことでしょう。
おゆきが始めて利用した1999年4月の時点では、なるほどメニューは日本語、それどころか客が日本人と知るや、
どこからともなく日本人が出てきて対応してくれて、中国人の服務員をてきぱきと指図しているところを見ると、
やはりそれなりの地位の人なのでしょう。しかもそんな日本人が何人かいるという、中国語がまったくわからない日本人観光客でも
問題ない状況でした。万年肩こりを抱えたおゆきは、1999年の9月から12月までの留学中には、足しげく通ったもんです。
ちなみにそのときのお値段は 全身188元(約2444円:1元=13円計算)、足、頭は各150元(約1950円:以下同)で各45分間。
ホテルなので、サービス料が10%加算されるのと、やはり日系ということで値段はおどろくほど安くはありませんが、
内容はしかし、本場ものはやっぱり違うよ。じっくりじっくり、当たった施術師がうらわかき女性だと内心(大丈夫かなあ)と
思い勝ちですが、なんの、このか細い体のどこにそんな力がと思うくらいしっかりと揉んでくれます。
もう、北京に来れば必ずここにくるというくらいのお気に入りだったのですが、2000年3月に友人夫婦と来た折には、日本人の姿が一切見えず、
しかも「24時を過ぎると30元プラス」ということを事前に何の説明もなく分捕られたのです。
文句をいうと、服務員は受け付けカウンターの脇にあるメニュー看板を指差す。なるほどそこには書いてある。しかし、受付をしたのは
24時以前の話。全身マッサージのあと、続けて足マッサージを頼んだから、終わったときは24時を過ぎたのですが、
そんなことを知ってたら、続けて頼んだりしなかったわい。

 その時は、そんなもんかい、こっちもうっかりだったくらいにしか思わず、お金を払ってしまったのですが、
それが意図的だったという、なんともせこい本意が知れたのはそれからしばらく後のこと。

 おゆきは二度目の留学中に再び新僑飯店を訪れ、一階のエレベーター横に設置してあるマッサージメニューで値段に変わりがないことを
確認してから、地下4階に向かいました。
受け付けでマッサージを頼むと、片言の日本語で「マッサージだけですか?」と聞いてくる。
(はて?今までそんなこと聞かれたことはないがなあ)と思いつつ、
「なぜ?ほかになにかあるの?」と聞くと、黙り込んでしまったので、「サウナはいらない。マッサージだけ。」と念を押しました。
「好的(ハオダ:いいです)」と言ってうなづく中国人。
そして、いつものように全身マッサージをした後に頭のマッサージを頼み、90分夢うつつの幸福感に包まれながら過ごしました。
その至福の時もやがて終わり、受け付けカウンターに行ってお金を払ったところ、その金額が404.8元だったのです。
計算に弱いおゆきは、(はて?なにかいつもより高いような気がするなあ)と思いつつもそのまま一旦地上まで上がってしまいましたが、
一階のメニュー看板を見ながら計算してみたところ、188元+150元+10%のサービス料なら371.7元ではないですか。
夕方のことではあるし、(しかし「24時以降は30元プラス」でさえ、一階のメニュー看板のどこにも書いてない)
客が損する計算間違いばかり多い中国人(おゆきの知る限り暴言ではない)のこと、やれここは戻って言わねばなるまい。

 ところが、地下4階の受け付けカウンターへ戻って事情を話せば、またまた受け付け嬢の指差すところ、
傍らのメニュー盤の下方に活字の入ったシールが貼ってあり、
中国語で「マッサージのみの場合入館費として30元プラスする」と書いてある。なんだそりゃあ!!!
しかしさらに下方、PPC用紙にワープロ文字で「サウナを利用しない場合入館料として30元いただく」旨のこれまた中国語が書いてあるではないか。

地下4階受け付けカウンター横のメニュー看板。
「但し24時を過ぎて滞在、入泉の場合深夜料金30元を加算させて頂きます」
「只按摩者 加30元入館費(按摩だけの人は入館費として30元プラスする)」
という文字が見える。どちらもシールで後から貼ったもの。
左の日本語メニュー看板のはるか下方にある張り紙。
「不桑拿者 加収30元入場費(サウナを利用しない人は
30元の入場料をプラスして徴収する)」という内容。


 なんといやらしい手口ではありませんか。
クレームの場合私のつたない中国語では話にならないので、一階の旅行カウンターに常駐する、日本語の話せるスタッフに
ひととおり話をしました。彼女(Jさん)は地下4階の受け付けに電話をしてくれましたが、Jさんの伝えてくれるところ、
相手は「30元とは入館料のことである」との説明に終始するばかり。
ああ中国。何度このような言い逃れにもならない言葉を耳にしてきたことか。
「そういう問題じゃないでしょう!」一階のメニュー看板に掲載されていない事実をJさんに見てもらい、「客をだまそうという手口か。」と食い下がると、
「私はテナントのことはよくわかりませんが、マネージャーと話をしましょう。ご一緒します。」と言ってくれた。
 Jさんとともに地下4階の受け付けへみたび赴き、マネージャーとご対面したが、このマネージャーとやら、以前とは異なりまさしく中国人。
まさしくと言ったが、おゆきはこの手の中国人に何度もお目にかかっている。満面に笑みをひたすら浮かべ(日本人のするいわゆる表面の作り笑いとは
違います。こういった場面でてきめん発揮される、中国ではこれができる人こそが大人である、または人々の間で最も尊敬に値するとされる、
あたかも『わたしはあなたの古い友人であり、しもべです。あなたの意にそむくことなど一切いたしません。』と言わんとしているかのごとくひたすらにこにこ、
何を言われてもにこにこ、最初から最後まで何に動じるふうもなくにこにこ。一種の耳栓状態ですなあれは。)
もちろん誠意など微塵も感じられないことには、「あなたにはご迷惑をかけました。30元はお返しします。」とは言ったものの、
「あなたたちは今すぐ一階にも日本語で張り紙をしなければならない。」とおゆきが言ったのに対し、「いやあ、ワープロで綺麗に文字を打たなければならないし、
ちゃんとしたシールもつくらなければならない。こういうことはすぐにはできないんですよ」
とかぬかす。
「あなた方のしていることは、客をだましてお金をとるという行為です。」と言っても「いやいやそんな、決して」とか言いながら
揉み手に例の笑みですまそうとする。あまつさえ、決して「対不起(ドィブチィ:すみません)」とは言わない中国人が「対不起、対不起」と連発。
こいつ、日本人にはこういえばいいと思ってやがるな。

 するつもりのないことはとうにわかっていたが、しかし気が済まんぞ。しつこく「鉛筆文字でいい。今すぐ書いて一階のメニューに貼り足しなさい。」と言って
Jさんとともに一階のロビーに上がってきました。エレベーターの中で率直に、「中国ではたびたびこういう目にあっています。中国人はどうしてああなの?」
と言うと、Jさんは「すみません、恥ずかしいと思っています。本当に、根本的なところを見ようとせず、いつもその場のがれのことをする。
こんなことではいけないと私も思っています。」と言います。Jさんは悪い人ではないらしいとは思うが、残念ながらこれもまた日本語のできる中国人から
よく耳にする言葉なので、ある程度中国に滞在していると、すでにこの程度の言葉では、さほど心休まったりしないのでアル。
そしてさらにJさんは帰り際に言ってくれました。「もし今度マッサージが必要だと思ったら、私に連絡をください。主人が出張マッサージをやっていますので。」


帰りの道すがら、考えていたことは、今日私は中国の腐敗のしくみを垣間見たのだと思いました。
「これからは中国」という風潮の中で、次々に日本企業が撤退していったのはなぜか。
なぜこの国が5000年、6000年の歴史を持ち、高度な文明を継続して今に伝えるにもかかわらず、いまだ先進国になりえないのはなぜか。
こういうことはこの国において、けして少なくはないのです。

いまだに彼らの価値観とは、個人レベルでも国家レベルでも同じ、「自分だけがよくなること」なのです。
それは往々にして「真なるもの」ではなく「目に見える安易な幸福感」。本当の意味で教養のなさを暴露する瞬間でもあります。




追伸:あえておゆきは、ホテルの実名を出しています。これらはすべて事実ですし、彼らのなすべきことが果たされていない間は、
今後このホテルを利用する方々のためにも、伏字にするつもりはありません。


「今どきの生ちゃいな」へ          TOPへ



mail

(c)2000 Yukiko Kawai